WES(溶接管理技術者)1級への道

溶接管理技術者1級を取得した溶接士が参考書と過去問をもとに1級・2級試験合格を目指す受験者のために書いたブログ

異材継手の割れとその防止

      2016/01/31

ここでは実用的に行われることの多い異材継手「ステンレス鋼(SUS304)×炭素鋼」の割れの発生原因とその防止方法について説明したいと思います。

 

まず、なぜ割れが発生するのか?

溶接金属の組織がマルテンサイト組織になるからです。

マルテンサイトは硬く脆い組織です。

 

なぜマルテンサイトが生成されるのか?

溶接金属中のNiCrの含有量が少なくなるからです。

もともとステンレス鋼には炭素鋼と違いNiとCrが入っています。

NiとCrが入っているステンレス鋼と入っていない炭素鋼を溶接すると溶接金属はNiとCrの少ないステンレス鋼になります。

このNiとCrの量が減る(薄まる)ことを希釈といいます。

炭素鋼と溶接することでNiとCrの量が少ないステンレス鋼、つまりマルテンサイト組織のステンレス鋼が作られるのです。

ちなみにSUS304はオーステナイト+フェライト組織のステンレス鋼なので割れません。

 

では、割れを防ぐにはどうすればいいのか?

基本的には309系の溶接材料を使用して溶接することです。

309系は308系の溶接材料に比べてNiとCrが多く含まれています。

309系を使用することで溶接金属中のNiとCrを補い(NiとCrの減少を抑え)組織をオーステナイト+フェライトに保つのです。

ただし、希釈率(溶け込みの度合い)によってNiとCrの減少量は変わります。(溶け込み大=減少大)

309系の溶接材料を使用していても希釈率が大きいとNiとCrを補いきれずにマルテンサイトが生成してしまいます。

どの溶接材料を使用し、それに対して希釈率をどれぐらいにすればいいのかはシェフラーの組織図を使って決めることができます。

基本的には溶接金属の組織が2~20%のフェライトを含むオーステナイト組織となるように溶接材料と希釈率を選定、管理します。

これはフェライト過少による低温割れを、フェライト過多による高温割れを防ぐためです。

 

異材継手を行う際のポイントは先に述べたように溶接材料の選定希釈率の管理です。

シェフラーの組織図の見方を覚えて適切に溶接管理しましょう。

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